『眼精疲労:❶原因編』
眼精疲労は、原因で治療がこんなにも違う。眼精疲労の治療で大切なのは、原因を調べてそれに対する治療を行うことです。
❶眼精疲労の主な原因
眼精疲労の原因はひとつではなく、複数が重なって起こることがほとんどです。
- ① ピント調節の負担(調節疲労)
スマートフォンやパソコンなど、近くを見る時間が長いと、目の中の「ピント調節の筋肉(毛様体筋)」が緊張し続けます。これが最も代表的な原因です。
治療には、毛様体筋自体をリラックスされるもの、ピントをダイレクトに改善するものがあります。
- ② 目の乾き(ドライアイ)
涙の量や質が低下すると、目の表面が傷つきやすくなり、違和感や疲れを強く感じるようになります。
治療には、ドライアイを改善する点眼薬が効きます。ドライアイが原因であれば、眼精疲労予防の点眼薬は効果が乏しいことになります。
- ③ 視力や眼鏡・コンタクトの問題
• 度数が合っていない
• 乱視が矯正されていない
• 老眼が進んでいる
こうした状態でも、目は無理にピントを合わせようとして疲労が蓄積します。
治療には、まずは視力検査を行い、現状評価を行います。現在のメガネやコンタクトの度数の適正化や必要時は老眼対策が必要となります。
- ④ 斜視・目の使い方の左右差
両眼でうまく物を見るためには、目の位置と動きのバランスが重要です。わずかなズレでも、脳と目に負担がかかります。
眼位(目の位置)を調べることで、分かります。
斜視もしくは、間欠性外斜視がある場合には眼精疲労を生じます。まずは点眼薬治療を行います。
- ⑤ 全身的な要因
• ストレス
• 睡眠不足
• 自律神経の乱れ
• 肩こりや首の緊張
これらも、眼精疲労を悪化させる大きな要因です。治療には、睡眠時間を長めにとることをお勧めしています。
『眼精疲労❷:治療編』
❷眼精疲労の治療
- ① 原因を正確に調べることが最も重要です
単なる視力検査だけでなく、下記を総合的に評価する必要があります。
• ピント調節の状態
• 涙の状態(ドライアイの有無)
• 目の位置や動きのバランス
• 眼鏡・コンタクトの適合
- ② 点眼・内服治療
症状や原因に応じて、
• ピント調節を改善する点眼薬
• 角膜や神経の働きを助ける点眼薬
• 涙を補う点眼薬(ドライアイ治療)
・その他、眼精疲労に効く内服薬
などを使い分けます。→詳しくは後述します。
- ③ 眼鏡・コンタクトの見直し
特に40歳前後からは、自覚がなくても老眼が始まっていることが多く、適切な度数の調整だけで症状が大きく改善するケースも少なくありません。
- ④ 生活習慣の改善
次のような工夫が効果的です。
• 1時間作業したら、数分遠くを見る
• 画面と目の距離を30〜40cm以上保つ
• 意識的にまばたきをする
• 十分な睡眠をとる
・PC画面は、目線より低い位置に置く
『眼精疲労❸:治療 点眼・内服』
❸眼精疲労の点眼・内服
🟢眼精疲労に対する点眼薬
- ❶サンコバ点眼液(後発品ソフティア点眼液)
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有効成分: シアノコバラミン(ビタミンB12点眼薬)
視神経・毛様体筋などの神経代謝と修復を促進し、神経性の眼精疲労を改善します。
効果:“だるさ・重さ・ピントの遅れ”が軽減
VDT作業・長時間近業で疲弊した神経機能の回復
シアノコバラミンは体内で
• メチルコバラミン
• アデノシルコバラミン に変換され、以下を促進します:
- ❷ミオピン(調節機能改善薬)
-
有効成分:ネオスチグミンメチル硫酸塩
間接型副交感神経刺激にて、縮瞳と水晶体の厚みを増す薬です。
効果:近方のピントを改善します。
- ❸ミドリンM(調節麻痺薬)
-
有効成分:トロピカミド。副交感神経遮断 → 毛様体筋弛緩 → 調節緊張解除。
効果:長時間のスマホやパソコン作業で固まったピント調節の筋肉を“休ませる”ことができます。目の“ストレッチ”のような役割をします。
就寝前に点眼し、翌朝の目の軽さや疲れの残りにくさを期待します。点眼後は一時的に手元がぼやけ、瞳孔が開く(散瞳)ことで眩しく感じます。
🟠眼精疲労に対する内服薬
- ❶アリナミン
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有効成分: フルスルチアミン(活性型ビタミンB1誘導体)
作用:神経細胞の核酸・タンパク合成およびミエリン形成を促進し、視神経および調節系神経の代謝と修復を高める。
神経性眼精疲労に効く
🟢全身から神経・筋の回復力を底上げする薬。
オススメな方
• 肩こり・首こり合併
• 全身疲労感が強い
・睡眠不足
🟠朝から重い=アリナミン向き
- ❷アデホス
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有効成分: アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物
作用:細胞エネルギー代謝と末梢循環の改善
毛様体筋、外眼筋、視神経周囲の血流改善
酸素・栄養供給の増強
循環性眼精疲労に効く
🟢目の周りに“酸素と栄養を運ぶ薬。
フィットする方
• 重だるさ・奥の疲れ
• 夕方悪化
• 肩こり・冷え・循環不良傾向
• 長時間VDT
🟠夕方悪化型=アデホスが効きやすい
- ❸メコバラミン
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有効成分: メチルコバラミン(活性型ビタミンB12)
作用:神経修復・神経伝導の改善
神経性眼精疲労に効く
🟢神経そのものを修復するビタミン薬
フィットする方
• 眼痛が鋭い/電撃様
• しびれ・ピリピリ感がある
• 頭痛が強い・片側性
• 所見に比べて訴えが強い
• 全身倦怠感が強い
🟠片側痛・電撃痛=メコバラミン適応

